「モンドセレクション金賞受賞」。
お菓子や飲料のパッケージで、一度は見たことがある言葉ではないでしょうか。なんとなく「世界的にすごい賞を取った商品」という印象があります。
一方で、ネットでは昔から「モンドセレクションは金で買える」「出品料を払えば取れる」といった噂もあります。
では実際のところ、モンドセレクションとは何なのでしょうか。日本の賞なのか。今も存在しているのか。本当にお金で買える賞なのか。調べてみると、かなり面白い仕組みが見えてきました。
モンドセレクションは日本の賞ではない
まず意外だったのが、モンドセレクションは日本の賞ではないということです。
モンドセレクションは、ベルギー発の民間の品質評価制度です。1961年から続いており、食品、飲料、酒類、健康食品、化粧品などを対象にしています。
日本であまりにも多くの商品が「モンドセレクション受賞」と表示しているため、日本の賞のように感じますが、実際には海外の品質ラベルです。
つまり、感覚としては「日本でやたら有名な海外の品質評価マーク」と見るのが近いです。
「金で買える」と言われる理由
モンドセレクションが「金で買える」と言われる理由は、出品に費用がかかるからです。
公式サイトの価格ツールでは、食品・ビール・水・ソフトドリンク・スピリッツの場合、出品費用は以下のようになっていました。
| 出品数 | 単価 |
|---|---|
| 1〜2商品目 | 1商品あたり €1,550 |
| 3〜4商品目 | 1商品あたり €1,200 |
| 5商品目以降 | 1商品あたり €1,100 |
1ユーロ170円で計算すると、食品1商品を出すだけで約26万円です。化粧品や健康食品系はさらに高く、1商品あたり€1,700からでした。
この参加費には、審査費用と、受賞した場合にパッケージや広告で賞を使えるライセンスが含まれます。
ここだけ見ると、たしかに「お金を払って賞を取りに行く仕組み」に見えます。
ただし、払えば必ず金賞ではない
重要なのは、出品料を払えば必ず金賞になるわけではないという点です。
モンドセレクションでは、審査員による評価があり、スコアに応じて賞が決まります。公式サイトでは、現在の基準として以下のように説明されています。
| スコア | 評価 |
|---|---|
| 90〜100% | Grand Gold |
| 80〜89% | Gold |
| 70〜79% | Nominee Label |
つまり、金賞は「1位」という意味ではなく、「一定以上の品質基準を満たした」という意味に近いです。
ここがオリンピックや一般的なコンテストと大きく違います。金賞は1商品だけではなく、基準を超えた商品が複数出ます。
だから「金賞受賞」と聞くと、つい「世界一に選ばれた」と思いがちですが、実際には「審査基準をクリアした品質ラベル」と捉えるほうが正確です。
実際に日本の商品も受賞している
公式サイトの商品ページを確認すると、日本の商品も受賞しています。
たとえば、以下のような商品が確認できました。
| 商品名 | 原産国 | 受賞 |
|---|---|---|
| Asagiri no Shizuku (12L) | Japan | Grand Gold 2026 / 2025 / 2024 |
| Asagiri no Shizuku Mild (12L) | Japan | Grand Gold 2025 / 2024 / 2023 |
| Fuji no Tennensui Sarari (12L) | Japan | Gold 2024 / 2023 / 2022 |
| Nan Dextrin | Japan | Grand Gold 2024 / 2023 / 2022 |
商品ページには「Country of origin: Japan」と表示され、受賞履歴も確認できます。
このあたりを見ると、モンドセレクションは現在も存在しており、審査・受賞の仕組みも動いていることが分かります。
似た仕組みの賞は他にもある
調べてみると、モンドセレクションのような「出品料を払って審査を受け、受賞マークを販促に使う」仕組みは、実は珍しくありません。
海外では、食品・飲料ならSuperior Taste Award、Great Taste Awards、World Beer Awards、San Francisco World Spirits Competition、NYIOOC World Olive Oil Competitionなどがあります。
日本で近い仕組みのものとしては、以下が挙げられます。
グッドデザイン賞
日本で最も有名な「有料応募型の賞」といえば、グッドデザイン賞でしょう。
2026年の公式料金では、1次審査料16,500円、2次審査料71,500円、受賞時のアワードパッケージ料181,500円。標準的には合計269,500円ほどかかります。
さらに、受賞後にGマークを継続利用する場合は、別途使用料がかかります。
ただし、グッドデザイン賞は社会的信用が非常に高く、Gマークの認知度も高いです。応募料があるから価値がない、とは単純には言えない好例です。
ジャパン・フード・セレクション
食品分野でモンドセレクションにかなり近いのが、ジャパン・フード・セレクションです。
こちらは日本フードアナリスト協会による食品・食材の審査認定制度で、100点満点中90〜100点がグランプリ、80〜89点が金賞、70〜79点が銀賞、60点以上が銅賞という絶対評価型です。
受賞商品には、ほっともっとの「のり弁当」「ほっともっとのごはん」、TOHOシネマズのポップコーン、御用邸チーズケーキなどもあります。
おもてなしセレクション
おもてなしセレクションも近い仕組みです。
日本らしい商品やサービスを選定し、受賞ロゴをパッケージやウェブサイトで使えます。食品だけでなく、雑貨、工芸品、サービスなども対象です。
受賞商品には、和乃果フィナンシェ、ジューシーぽん酢、桔梗信玄餅なども確認できます。
結論:「買える賞」ではなく「有料の品質評価」と見るべき
モンドセレクションは、たしかに出品料が高いです。
しかも、受賞すればパッケージや広告に使えるため、マーケティング目的で応募する企業も多いでしょう。その意味では、「完全に純粋な競争型の賞」とは少し違います。
しかし、「お金を払えば金賞を買える」と言い切るのも雑です。
実際には、商品を出品し、審査を受け、一定の品質基準をクリアした場合に賞が与えられます。つまり、モンドセレクションは「世界一を決める賞」ではなく、「一定の品質を満たしたことを示す証」と考えるのが一番しっくりきます。
消費者としては、「金賞だから絶対に最高の商品」ではなく、「外部の品質評価を受けて、一定基準をクリアした商品」くらいに受け止めるのがちょうどよさそうです。
モンドセレクションの価値は、世界一の称号というより、企業が品質をアピールするための信頼マークにあります。
そう考えると、「金で買える」という噂は半分当たっていて、半分ズレています。お金を払って審査に出すことは事実。でも、賞そのものを無条件で買えるわけではありません。
モンドセレクションは、少し派手な宣伝文句として見られがちですが、実態は「有料の品質評価制度」と見るのが公平だと思います。


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