【レビュー】3000円の中華エフェクターは使えるのか?Movall 3機種をBOSSユーザーが試してみた

※本記事は、筆者が実際に購入・使用した体験に基づくレビューです。提供・タイアップなし。

レビュー対象:
Falling Star(モジュレーション+ディレイ)
Galactic Groove Fuzzy Drive(ファジーオーバードライブ)
Jumpspace Overdrive(チューブ風オーバードライブ)
価格帯:1台 約3,000円(SHEINなどで購入可)
試奏環境:BOSS GT-1000CORE → モニタースピーカー出力
視聴参考:今堀良昭の爆音チャンネル

Movallとは?安価&コンパクトな“中華エフェクター”の代表格

中国のブランド Movall(ムーヴオール) は、近年SHEINなどでも扱われる格安エフェクターメーカー。
1台3,000円前後という価格ながら、アルミ筐体にLED付き透明ノブなど、見た目の作りも上々。 BOSSなどの王道ブランドと比べると知名度は低いですが、実際には有名モデルをモチーフにした“オマージュ系”設計が多く、音質面では驚くほど完成度が高いと話題です。

YouTube:今堀良昭さんによる紹介

中華エフェクターについて知ったのはこのYouTube動画。この今堀良昭さんという方が弾くギターが好きでたまに拝見しているのですが、その中で中華エフェクターを試奏する回がありました。(この動画の他にもあります。)

試奏環境と筆者の立場

  • 使用環境:BOSS GT-1000CORE → モニタースピーカー
  • 普段の愛用ブランド:BOSS中心(GTシリーズ・コンパクト両方)
  • 他社ペダルはあまり経験がなく、「中華エフェクター」は初体験

各モデルの詳細レビュー

1. Falling Star(モジュレーション+ディレイ)

このモデルは、Electro-Harmonix「Deluxe Memory Man」をモチーフにしたアナログディレイ系。 原音に反復(ディレイ)を加え、さらにわずかな揺らぎ(モジュレーション)をかけることで、幻想的で広がりのあるサウンドを作り出します。 オリジナルのDeluxe Memory Manは70年代後半に登場し、U2のThe Edgeなどが愛用したことで知られる名機。温かみのある反響音が特徴で、デジタルでは再現しにくい“アナログ的な心地よさ”があります。

Falling Starはそのエッセンスをコンパクト筐体で再現。
ツマミ操作でディレイタイムや揺れの深さが大きく変化し、触っているだけで楽しいタイプのエフェクターです。

筆者の感想:
モジュレーション+ディレイという“飛び道具系”。ツマミで音色が劇的に変わるのは面白いが、ギター演奏での使い道は少し悩ましい。 ただ、この価格でこの温かい響きなら「とりあえず持っておいて損はない」レベル。

2. Galactic Groove Fuzzy Drive(ファズ/OD)

このモデルは、日本のブランド E.W.S.「Fuzzy Drive(FD-1)」 を参考にした設計です。 Fuzzy Driveは、ファズの荒々しさとオーバードライブの滑らかさを融合したペダルで、ギターのボリューム操作に反応するダイナミクスが特徴。 ゲインを下げればクランチ、上げれば厚みのあるファズへと変化し、1台で幅広い歪みを作り出せるのが魅力です。

オリジナルはオペアンプ回路を採用し、従来のゲルマニウムファズよりも安定した出音を実現。 国内外のプレイヤーから「温かいけど扱いやすいファズ」として支持されています。

Movall版もその個性をよく捉えており、ToneとGainのバランス次第でクリーンブースト的にも、ラフなファズ的にも使える万能型。 派手さはありませんが、価格を超える完成度です。

筆者の感想:
とても素直な歪みという印象。暴れすぎず、音に芯がある。 GT-1000COREを通すと全体が太くなり、宅録環境でも使いやすい。 ファズよりも安定感があり、オーバードライブよりも熱量を感じるちょうど良い立ち位置。

3. Jumpspace Overdrive(多機能OD)

こちらは、オーストラリアのメーカー MI Audio「Tube Zone」 をベースにした設計。 Tube Zoneは2000年代に登場し、真空管アンプをフルドライブさせたような厚みとダイナミクスを再現したオーバードライブとして人気を博しました。 6ノブ構成(Drive/Tone/Mids/Character/Bright/Volume)により、クランチからハイゲインまで自在にカバー。 特に中域のコントロール幅が広く、ハムバッカーにもシングルにもマッチする万能機として知られています。

Movall版のJumpspaceもその多機能性を受け継ぎ、BrightやCharacterの微調整で音の表情が大きく変わります。 ゲインを上げても粒立ちが失われず、立体感のある“艶サウンド”を作れるのが魅力です。

筆者の感想:
YouTubeで聴いた“ツヤのあるサウンド”をそのまま再現。 音色の可変幅が広く、軽いクランチからしっかり歪んだリードまで対応。 OVERDRIVEといいつつ、音にわずかな揺らぎがあり、立体的なトーンを作れる。 3機種の中で最も完成度が高く、メインボードにも使えるレベル。

3機種の比較まとめ

モデル名 参考モデル 参考モデルの特徴 Movall版のキャラクター 向いている人
Falling Star Electro-Harmonix Deluxe Memory Man アナログディレイ+モジュレーションの名機。温かく幻想的な揺らぎ。 アナログ感のある残響とモジュレーション。飛び道具系ながら自然な音。 空間系を試したい/広がりのある音を作りたい人
Galactic Groove Fuzzy Drive E.W.S. Fuzzy Drive(FD-1) ファズとODの中間。温かく扱いやすい“モダン・ファズ”。 素直で芯のある歪み。GT-1000CORE経由で太さが増す。 宅録ギタリスト/汎用的な歪みを1台で欲しい人
Jumpspace Overdrive MI Audio Tube Zone 真空管アンプ風の厚みとハイゲイン対応力。6ノブで細かく音作り可能。 ツヤと奥行きのあるトーン。クランチ〜リードまで万能。 メインボードに入れたい/幅広いジャンルを弾く人

総評:3,000円とは思えない完成度。サブではなく“遊べる主力”

Movallの3機種を試してみて感じたのは、「価格の割にかなり使える」という手応え。 BOSS中心の筆者でも、“中華=おもちゃ”の印象を覆す音質でした。 ノイズや耐久性の面では不安はあるものの、サウンド面では十分実用的。 特にJumpspace Overdriveは、価格を超えたクオリティで“メイン候補”になり得ます。気になった方はSHEINでチェックしてみてください。ちなみに私のTWITTERでアップしてますが、エフェクターの箱がプチプチにもくるまれずビニール袋にゴロゴロ入った状態で届いたのには度肝を抜かれました。流石中国、国際便でも容赦なく、早々に動作確認をせざるを得ませんでした。


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